「稲穂の心」を育む祈り

「稲穂の心」とは、実るほどに頭を垂れる、黄金の「稲穂」のごとき、感謝の心の菩提心です。
いつの時代にも、人は、自然が示す姿に、深い人生の真実を学んできました。実りの季節。手塩にかけた作物が実り、収穫を迎えるとき。黄金色に輝く「稲穂」が、たわわな実りをつけて頭を垂れる姿に私たちは、「感謝」の心を重ね合わせてきました。
自然の恵みが自らを育んでくれたことを知るかのように頭を垂れる「稲穂」の姿は、恩恵を受けとめる姿勢そのものです。そしてそれは、私たち自身を、あらゆる機会を通じて、人として、魂として、育まれている事実を思い出させる「恩恵の自覚」へと誘います。
その「恩恵」に目ざめるとき、私たちは、人生に与えられる一つ一つの出会い、出来事が自らの快苦・好悪・利害・善悪で判断されるだけのものでなく、大切な意味が孕まれているものであることを受けとめるようになるのです。
「稲穂の心」が知る「恩恵の自覚」の深みを想ってください。
(祈りの言葉)
わたくしは生かされて生きる存在であることを胸に刻みます。
わたくしが前に進むことができたとしたらそれはわたくしを支えてくれた人がいたからです。
わたくしが多くを獲得できたとしたらそれはわたくしを助けてくれた人がいたからです。
わたくしが自ら成長することができたとしたらそれはわたくしを見守り導いてくれた存在があったからです。だからこそわたくしは一切の出会いに感謝できる心を育みます。
実るほどに頭を垂れる黄金の「稲穂」のごとく…。すべての出会いと出来事の豊かな意味を受けとめさせてください。そしてその一切を、大切に、大切に味わわせてください。
「祈りの道(高橋佳子著)」より