所得税ゼミナール(相談事例)NO.5

相談事例 非居住者から日本国内にある不動産を購入する場合の課税上の取扱いはどのようになりますか。
【回 答】
[原則]  非居住者が日本国内にある土地及び建物等の不動産を譲渡した場合には、その譲渡対価を支払う者は、その支払いの際に譲渡対価の10.21%の税率により所得税及び復興特別所得税(以下、「所得税等」といいます。)を源泉徴収する必要があります。譲渡対価を得た非居住者は、確定申告をすることにより所得税等の精算を行うことになります。また、各国と締結している租税条約においても、ほとんどの条約が不動産の所在地国に課税権がある(不動産所在地国課税)としており、国内法と同様の取扱いとなっています。(したがって、不動産の譲渡対価については、通常租税条約による軽減、免除はないことから、一般的には、「租税条約に関する届出書」の提出について考える必要はありません。)
[特例]  土地等の譲渡対価の額が1億円以下で、その土地等を自己又はその親族の居住の用に供するために譲り受けたものである場合には、その個人(法人は除きます。)が支払う譲渡対価については、源泉徴収をする必要はありません(令281の3)。また、この特例により、源泉徴収不要とされても、非居住者の所得税等が非課税となったわけではありませんので、確定申告は必要となります。なお、譲渡対価が1億円以下かどうかの判定は、土地等の譲渡をした側の譲渡対価の額(非居住者が共有で所有している場合には、共有者それぞれの対価の額)で判定します。