配当所得の損益通算と扶養控除等

平成21年分の所得税確定申告から、「上場株式等に係る配当所得」と「株式等の譲渡損失及び過去3年以内に生じた繰越損失」が通算することができるようになりました。
株式の売買により損をされた方は、上場株式等の配当所得について申告分離課税を選択することで、上場株式等の配当金から源泉徴収された所得税が還付されます。
この通算制度を適用した場合の配偶者控除や扶養控除の判定については、上場株式等の配当所得と株式等の譲渡損失の損益通算後の所得をもって控除対象の判定をします。
(設 例)
扶養控除判定対象者の所得が、上場株式等の配当所得 95万円 、株式等の譲渡損失 △80万円の場合、通算後の所得金額が15万円となり、所得金額が38万円を超えないため、配偶者控除や扶養控除が受けられることになります。
①通算後の所得 95万円-80万円=15万円
②控除の判定となる合計所得金額 15万円 ≦ 38万円
一方、配偶者や扶養親族が、その年の上場株式等の配当所得と過去から繰り越してきた株式等の損失との通算をした場合、配偶者控除や扶養控除の判定については、株式等の繰越損失の損益通算前の配当所得で判定することになります。
(設 例)
扶養控除判定対象者の所得が、上場株式等の配当所得 95万円 、株式等の譲渡損失 △80万円の場合、通算後の所得金額が15万円となりますが、株式等の繰越損失の損益通算前の所得金額が38万円(95万円)を超えるため、配偶者控除や扶養控除が受けられません。
①通算後の所得 95万円-80万円=15万円

相続の開始時期

相続は、通常、人の死亡によって開始します(「自然的死亡」といいます)。
また、特殊なケースとして、生死不明の者に対して家庭裁判所が失踪宣告をした場合(「擬制死亡」といいます)や災害等により遺体が見つからない者に対して官公署が死亡を認定した場合(「認定死亡」といいます)にも相続は開始します。
「相続の開始時期」については、相続税の申告書の提出期限や納付期限等を判断する場合に問題となります。
(1) 自然的死亡
自然的死亡とは、老衰、病気、事故等により現実に死亡という事実が生じた場合をいい、その具体的な時期は、通常、医師が死亡診断書又は死体検案書に記載した「死亡の年月日時分」となります(民法882)。相続人等の利害関係人において死亡の事実を了知した日、死亡の届出日、死亡した旨が戸籍簿に記載された日のいずれでもありません。
(2) 擬制死亡
擬制死亡とは、不在者の生死が7年間明らかでないとき(「普通失踪」といいます),又は戦争、船舶の沈没、震災などの死亡の原因となる危難に遭遇しその危難が去った後その生死が1年間明らかでないとき(「危難失踪」といいます)、家庭裁判所への申立てにより、生死不明の者に対して,法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度です(民法30、31)。
(3) 認定死亡
認定死亡とは、水難、火災その他の事変によって、死亡したのは確実であるが、遺体が見つからない等の場合に、その取調べにあたった官公署が死亡地の市町村長に死亡の報告をして、戸籍上一応死亡として扱う制度です(戸籍法89、91)。