「風の心」を育む祈り

「風の心」とは、いかなるものでしょうか。
「風」は遠くから、何かを運んでくるものです。澱んだ大気の谷に、一陣の「風」が吹き抜けるとき、清新な空気が流れ込んで気配がまったく変わってしまいます。
我見にとらわれ、我意に固執するとき、場は閉塞し空気は澱んでいます。「風」はそこに窓を穿つ力です。停滞した事態、硬直した心に、「風」が吹くとき、それらを一変させる智慧と光が流れ入るのです。閉塞した空気が流動を始め、光転の循環を起こしてゆくのです。
「風の心」とは、誰の心にも我意を超えた願いを蘇らせる、颯爽とした「風」のような無垢な心の菩提心。根源の光、始源の智慧、中心の願いを蘇らせる「風」のことを想ってください。
(祈りの言葉)
わたくしは、いつも思い続けます。「風」起こる深淵を、光生まれる混沌を、いのち孕まれる根源を。どうか、そこに遡らせてください。それらを呼び覚ましてください。
わたくしは「風」のごとき颯爽とした心を育みます。我意を越えた切なる願いを自他の心に起こすことができますように。「風」のように歩ませてください。「風」のように生きさせてください。
「祈りの道(高橋佳子著)」より