「失踪宣告」も「認定死亡」も、本当にその人が死亡したのかどうかは不明であり、死亡したものとして取り扱うという点では共通していますが、決定する機関が「家庭裁判所」と「行政機関」との違いがあります。しかし,もっとも根本的な違いは,失踪宣告は死亡したものと「みなす」というものであるのに対し,認定死亡は死亡したことを「推定する」ということです。どう違うのかというと,認定死亡は「推定」ですので、反対の証拠を提出すれば覆すことができます。ところが、失踪宣告は反対の証拠を提出しても覆すことができません。したがって,失踪宣告による死亡という効力を覆すためには、失踪宣告の取消しの手続きを家庭裁判所でしなければなりません。例えば,生死不明になり,認定死亡又は失踪宣告に基づいて相続が開始した後,生存していたとします。この場合,認定死亡であれば,相続人は生存していた者に財産を返さなければいけません。ところが,失踪宣告の場合には,相続人はとりあえず生存していた者に財産を返す必要はありません。生存していた者が財産を取り戻すためには,失踪宣告を取り消す審判を家庭裁判所で受けなければなりません。