為替差損益は、原則的には異なる通貨の交換(往復)により発生します。例えば、円貨を外貨に交換し、その外貨を円貨に交換した時(円転した時)に、所得税法第36条の「収入すべき金額」が実現したと考えられますので、その実現した金額を為替差損益として雑所得の所得計算を行います。
したがって、購入した外国通貨をそのまま保有し続ける限りにおいては、為替差損益については未実現の評価損益に過ぎないものと考えられますので、所得として認識する必要はありません。また、外貨建預金として預け入れていた元本部分の金銭について、①同一の金融機関に、②同一の通貨で、③継続して預け入れる場合の預貯金の預け入れも、外貨建取引に該当しない(円換算しない)こととされていますので、その元本分部に係る為替差損益が所得として認識されることはありません(令167の6②)。(なお、実務的には、他の金融機関に預け入れる場合であっても、同一の外国通貨で行われる限り、令167の6②の預け入れに類するものとして、同様に扱われています。)
ただ、為替差損益は異なる通貨の交換(往復)の場合に発生するだけではなく、異なる通貨の交換(往復)以外にも、為替差損益が実現したと認識しなければならない場合があります(新たな経済的価値が外部から流入したことにより、それまでは評価差額にすぎなかった為替差損益に相当するものが、所得税法第36条の「収入すべき金額」として実現したこととなる場合)。
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