東日本大震災により被害を受けられた方の所得税の特例 2

2.事業所得者等の取扱い
東日本大震災により事業所得者等の有する棚卸資産、事業用資産等に損失(以下、「事業用資産の震災損失」といいます)が生じた場合、納税者は、当該損失額を平成22年分の事業所得の金額等の必要経費に算入するか、平成23年分の必要経費に算入するかを選択することができます。
※事業用資産の震災損失額には、大震災に関連して支出したやむを得ない支出を含みますが、これらの損失について保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる金額がある場合には、その金額を差し引きます。
(1)事業用資産の震災損失額を平成22年分の事業所得の金額等の計算上必要経費に算入する場合
平成21年分から青色申告をしている方は、平成22年分の所得において純損失が生じたときは、平成21年分の所得に繰り戻して所得税の還付請求をすることができます。なお、既に、平成22年分の所得税の確定申告書を提出している方は、平成24年4月26日まで「更正の請求」をすることができます。また、被災純損失金額(純損失の繰戻しの適用を受けていない部分に限ります)については、5年間繰越控除できます。
(2)事業用資産の震災損失額を平成23年分の事業所得の金額等の計算上必要経費に算入する場合
純損失の金額が生じた場合には、純損失の金額のうち次に掲げるものについては、5年間繰り越すことができます。
①    保有する事業用資産等(土地を除きます)に占める事業用資産の震災損失額の割合が10%以上である方
イ   青色申告の場合
平成23年分の純損失の金額(震災損失額だけでなく、平成23年に生じた他の純損失の金額も含みます)
ロ白色申告の場合
平成23年分の被災事業用資産の損失の金額と変動所得に係る損失の金額による純損失の金額
②    上記①以外の方
事業用資産の震災損失による純損失の金額

東日本大震災により被害を受けられた方の所得税の特例 1

1.雑損控除
東日本大震災により住宅や家財などについて損失が生じた場合、納税者は、平成22年分の雑損控除とするか、平成23年分の雑損控除とするか、いずれかを選択することができます。また、その年分の所得金額から控除しきれない大震災による雑損失の金額がある場合には、5年間繰越控除できます。
なお、平成22年分の雑損控除とした場合には、平成23年において当該損失は生じなかったものとみなされます。また、既に平成22年分の確定申告書を提出している方は、平成24年4月26日までこの特例の適用を受けるための更正の請求をすることができます。
上記の雑損控除に代えて、災害減免法の適用を受けることもできます。この場合も、納税者は、平成22年分で適用を受けるか、平成23年分で適用を受けるか、いずれかを選択することができます。ただし、災害減免法は、当該年分だけの適用になります。
※住宅や家財の損失額は、その損失の生じた時の直前におけるその資産の価額を基として計算することになっていますが、損害を受けた資産について個々に損失額を計算することが困難な場合には、国税庁ホームページ「東日本大震災により損害を受けた場合の所得税の取扱い(情報) 第3 雑損控除における損失額の合理的な計算方法」をご参照ください。