「失踪宣告」も「認定死亡」も、本当にその人が死亡したのかどうかは不明であり、死亡したものとして取り扱うという点では共通していますが、決定する機関が「家庭裁判所」と「行政機関」との違いがあります。しかし,もっとも根本的な違いは,失踪宣告は死亡したものと「みなす」というものであるのに対し,認定死亡は死亡したことを「推定する」ということです。どう違うのかというと,認定死亡は「推定」ですので、反対の証拠を提出すれば覆すことができます。ところが、失踪宣告は反対の証拠を提出しても覆すことができません。したがって,失踪宣告による死亡という効力を覆すためには、失踪宣告の取消しの手続きを家庭裁判所でしなければなりません。例えば,生死不明になり,認定死亡又は失踪宣告に基づいて相続が開始した後,生存していたとします。この場合,認定死亡であれば,相続人は生存していた者に財産を返さなければいけません。ところが,失踪宣告の場合には,相続人はとりあえず生存していた者に財産を返す必要はありません。生存していた者が財産を取り戻すためには,失踪宣告を取り消す審判を家庭裁判所で受けなければなりません。
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成年後見制度について
12月3日と4日に東京税理士会が主催し、税理士のための成年後見人研修が開催されました。高齢化社会の到来により、成年後見人の重要性が注目されてきました。特に、高齢者を狙った悪質商法や詐欺が多発していることからもその必要性が増してきています。
成年後見制度の理念は、成年被後見人の「自己決定の尊重」「身上保護の重視」「ノーマライゼーション」により、成年被後見人にとって最善の利益となるようすることが成年後見人の職務ですので、その理念を心に重く受け止めて成年後見事務に当たらなければならないと思いました。