所得税ゼミナール(相談事例)NO.3

相談事例 どのような場合に「国内に住所を有する者」と推定されるのでしょうか。
【回 答】 次のいずれかに該当する場合は、「国内に住所を有する者」と推定されます(令14)。
イ 国内に居住することとなった者が、国内において継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有すること。(この場合、国内において事業を営み又は職業に従事するため国内に居住することとなった者は、国内における在留期間が契約等によりあらかじめ1年未満であることが明らかであると認められる場合を除き、「国内において継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する者」として取り扱うこととされています(基通3-3))。
ロ 国内に居住することなった者が日本国籍を有し、かつ、その者が国内に生計を一にする配偶者等を有することその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等に照らし、国内において継続して1年以上居住するものと推定するに足りる事実があること。

所得税ゼミナール(相談事例)NO.2

相談事例 「非永住者」の判定基準は何ですか。
【回 答】 日本の国籍を有していない者で、過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である場合、「非永住者」に該当します(所法2①四)。居住期間の計算方法は以下のとおりです。
イ 居住期間の計算に当たっては、入国の翌日を起算日とする(基通2-4)。
ロ 過去10年以内とは、判定する日の10年前の同日から、判定する日の前日までをいう(基通2-4の2)。
ハ 「国内に住所又は居所を有していた期間」は、暦に従って計算し、1月に満たない期間は日をもって数える(基通2-4の3)。
ニ 居住期間が複数ある場合には、これらの年数、月数及び日数をそれぞれ合計し、日数は30をもって1月とし、月数は12月をもって1年とする(基通2-4の3)。

所得税ゼミナール(相談事例) NO.1

相談事例 居住形態を判定する場合の「居住者」・「非居住者」となる日はいつからですか。

【回 答】 海外勤務等で「非居住者」となるのは出国の日の翌日からで、海外勤務が終了し「居住者」となる場合には、日本に帰国したその日からです。

住民税の上場株式等に係る配当所得の課税方式が変更されました。

 上場株式等に係る配当金について、所得税について総合課税を選択して申告した場合に、配当控除により税額が生じないケースでも、住民税については所得割と配当割との差率分(5%)の税負担が生じるということがありました。   
平成29年度の税制改正では、この点を解消するため、所得税の確定申告書と個人住民税の申告書の両方が提出された場合において、それぞれ異なる課税方式を選択する納税者の意思が表示されているときは、市町村長が住民税の課税方式を決定できることとされました。
 つまり、所得税では総合課税を選択して配当控除を受け、住民税では源泉分離課税(配当割)(申告不要)ということが認められることとなりました。

平成29年度の税制改正で、異動に関する届出の手続きが簡略化されました。

 改正前は、異動前、異動後の納税地の税務署長に届出が必要でしたが、改正後は異動後の納税地の
税務署長への届出は不要となりました。主な届出には以下のもの等があります。
  ・所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書
  ・所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書
  ・給与支払い事務所等の移転の届出書
  ・法人税の納税地の異動又は本店等所在地の異動に関する届出書 

「火の心」を育む祈り

「火の心」とは、本当に大切なものに一心にまごころを尽くす、熱き心の菩提心。
心の中に燃える「火」を想い描いてください。一時(いっとき)としてとどまることなく変化し動きながら燃え続けるように見えて「火」は、「今」というただ一点をいのちとしています。今にすべてをかけるように、熱く明るく燃える「火」は「今」を燃やし尽くす力。
「今」という一回生起の時をこれ以上はないというくらいの熱をもって完全に燃焼させることができるのが「火の心」です。
猶予の感覚が少しでも混じれば、それは叶いません。依存の想いに少しでも傾けばいのちを捉えることはできません。最も大切な一事に、最も大切にすべき一点にすべてをかけて集中することを想ってください。

(祈りの言葉)
わたくしは「火」のごとき熱き心を育みます。現在にいのちを込めて人生の仕事を果たすことができるようにどうぞわたくしを導いてください。大切な一点のために中心をなす一事のために一切を焼き尽くすほどの熱を自らの内に保ち続けることができますように.
「祈りの道(高橋佳子著)」より

バフェットレシオ

バフェットレシオとは、名目GDPと株式市場の時価総額の比率を見て株式市場の割高感をチェックする指数です。その比率が100%を超えていると割高であることを示しています。現在の日本のGDPは540兆円、株式市場の時価総額は590兆円であり、109%なので割高水準にあるといえます。ちなみに、2015年5月が120%前後でした。
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=998407.O&ct=z&t=5y&q=c&l=off&z=m&p=m65,m130&a=

職務発明等に係る報奨金等の所得区分について

  1. (問)
    電気メーカー会社に勤める者Xが開発した新型燃料電池が、特許を取得した。
    この新型燃料電池は、勤務の一環としてXが研究・開発したものであり、特許権は社内規定により勤務先の電気メーカーが承継している。特許権の承継に際し、Xは勤務先の電気メーカーより「出願報奨金」として、3万円の支払いを受けている。その後、この新型燃料電池が販売され、電気メーカーに莫大な収益をもたらすこととなった。このため、Xは、電気メーカーより「実績報奨金」として更に8,200万円の現金の支払いを受けた。「出願報奨金」、「実績報奨金」は、所得税上どう取り扱うべきか。
    (回答)
    発明者が有する職務発明などの特許権等につき対価を受ける権利(以下「対価請求権」という。)については、各法令上、雇用契約等の存在を支払いの前提としておらず、また、民法466条《債権の譲渡性》に基づき、譲渡可能とされていることから、雇用契約等を前提とした給与等とするのは相当でないと考えられ、したがって、使用人等の発明等に係る報奨金等については、所得税基本通達において次のとおり取り扱うこととされている。
    1業務上有益な発明、考案又は創作をした者が当該発明、考案又は創作に係る特許を受ける権利、実用新案登録を受ける権利若しくは意匠登録を受ける権利又は特許権、実用新案権若しくは意匠権を使用者に承継させたことにより支払いを受けるもので、これらの権利の承継に際し一時に支払いを受けるものは譲渡所得、これらの権利を承継させた後において支払いを受けるものは雑所得に区分される(所基通23~35共-1(1))。
    2事務若しくは作業の合理化、製品の品質の改善又は経費の節約等に寄与する工夫、考案等(特許又は実用新案登録若しくは意匠登録を受けるに至らないものに限る。)をした者が支払いを受けるものは、その工夫、考案等が、その者の通常の職務内の行為である場合には給与所得、その他の場合には一時所得(その工夫、考案等の実施後の成績等に応じ、継続的に支払いを受けるときは雑所得)に区分される(所基通23~35共-1(3))。
    所得区分の判断に当たっては、受け取った報酬の性質が、上記のいずれに該当するものであるか、個々に判断する必要があるものの、一般的には、特許権を承継することでXが支払いを受けた報酬3万円については、上記1の「権利の承継に際し一時に支払いを受けるもの」に当たると解される。
    よって、Xが支払いを受けた「出願報奨金」は譲渡所得に該当する。
    ※この譲渡所得は、所得税法施行令第82条に規定する「自己の研究の成果である特許権」の譲渡に準じ、総合課税の長期譲渡所得として取り扱うのが相当であると解される。

セルフメディケーション税制のスタート

平成29年1月から、従来の医療費控除の特例として期間限定で(平成33年12月末まで)、「セルフメディケーション税制」が施行されています。
この制度は、健康の維持増進及び疾病の予防への一定の取組※1をしている個人が、特定成分を含んだスイッチOTC医薬品※2を購入することにより、所得税や住民税の控除が受けられる制度です。
具体的には、その年中に支払ったスイッチOTC医薬品の購入の対価が、1万2千円を超えるときは、その超える部分の金額(その金額が8万8千円を超える場合には、8万8千円が限度)について、その年分の総所得金額等から控除することとなります。
なお、この制度は、今までの医療費控除とは選択適用となりますので、どちらか有利な制度を選択することとなり、一旦この制度を選択して確定申告書を提出した場合には、その後において納税者が更正の請求をし、又は修正申告書を提出する場合において、セルフメディケーション税制から従来の医療費控除への適用を変更することはできませんので、注意が必要です。

※1 特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診
※2 要指導医薬品及び一般医薬品のうち、医療用から転用された医薬品