平成25年度 所得税改正 4

譲渡所得関係

  1. 換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例(措法33の3)について、その対象から除外される保留地に係る土地等の範囲に、都市の低炭素化の促進に関する法律による保留地が定められた場合のその保留地の対価に対応する土地等が加えられました(措法33の3①)。
    《適用関係》 この改正は、平成25年4月1日以後に行う土地等の譲渡について  適用されます(改正法附則41①)。
  2. 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除(措法34の2)について、その適用対象から、中心市街地活性化法等による土地区画整理事業が施行された場合において、換地処分により中心市街地活性化法等の保留地に対応する部分の土地等の譲渡が行われた場合が除外されました(措法34の2②)。
    《適用関係》 平成25年4月1日前に行った土地等の譲渡については、従前のとおりとされています(改正法附則41②)。
  3. 認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の交換等の場合の譲渡所得の課税の特例(旧措法37の9の2)について、適用期限(平成25年3月31日)の到来をもって廃止されました。
    《適用関係》 平成25年4月1日前に行った土地等の交換又は譲渡については、従前のとおりとされています(改正法附則41③)。
  4. 国等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税(措法40)について、特例の適用を受けた財産等を有する公益法人等(幼稚園又は保育所等を設置する者に限ります。)が、その財産等(幼稚園又は保育所等の事業の用に直接供しているものに限ります。)を他の公益法人等(幼保連携型認定こども園、幼稚園又は保育所等を設置しようとする者に限ります。)に贈与をしようとする場合(一定の要件を満たす場合に限ります。)に、その贈与の日の前日までにその贈与に関する届出書を国税庁長官に提出したときは、非課税の特例を継続することができることとされました(措法40⑩)。
    《適用関係》 この改正は、平成25年6月1日以後に行う他の公益法人等への贈与について適用されます(改正法附則53①)。
  5. 債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の課税の特例(措法40の3の2)が創設され、中小企業者に該当する内国法人の取締役等である個人でその内国法人の債務の保証人である者が、その個人が有する資産(有価証券を除きます。)でその資産に設定された賃借権、使用貸借権その他資産の使用又は収益を目的とする権利が現にその内国法人の事業の用に供されているものを、その内国法人について策定された債務処理に関する計画で一般に公表された債務処理を行うための手続に関する準則に基づき策定されていることその他一定の要件を満たすもの(以下「債務処理計画」といいます。)に基づき、平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間にその内国法人に贈与した場合には、次に掲げる要件を満たしているときに限り、一定の手続の下でその贈与によるみなし譲渡課税を適用しないこととされました。
    イ その個人が、債務処理計画に基づき、その内国法人の債務の保証に係る保証債務の一部を履行していること。
    ロ その債務処理計画に基づいて行われたその内国法人に対する資産の贈与及び保証債務の一部の履行後においても、その個人がその内国法人の債務の保証に係る保証債務を有していることが、その債務処理計画において見込まれていること。
    ハ その内国法人が、その資産の贈与を受けた後に、その資産をその事業の用に供することがその債務処理計画において定められていること。

平成25年度 所得税改正 3

退職所得関係

 特定役員退職手当等に係る退職所得の金額については、退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額に相当する金額とされました(所法30②)。
※ 特定役員退職手当等とは、退職手当等のうち、役員等(① 法人税法第2条第15 号に規定する役員、② 国会議員及び地方公共団体の議会の議員、③ 国家公務員及び地方公務員)としての勤続年数(以下「役員等勤続年数」といいます。)が5年以下である者が、退職手当等の支払をする者からその役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるものをいいます(所法30④)。
《適用関係》 この改正は、平成25年分以後の所得税について適用されます(平成24年改正法附則51)。

平成25年度 所得税改正 2

給与所得関係

1 給与所得控除(所法28③)について、その年中の給与等の収入金額が1,500万円を超え  る場合の給与所得控除額については、245万円の上限が設けられました。 この改正は、平成25年分以後の所得税について適用されます(平成24年改正法附則51)。

2 給与所得者の特定支出の控除の特例について、次のとおり改正が行われました(所法57の2、所令167の3)。
(1)  その年中の特定支出の額の合計額が、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額を超える場合は、給与所得の金額の計算上、その超える部分の金額を給与所得控除額に加算することとされました。
イ その年中の給与等の収入金額が1,500万円以下である場合 その年中の給与所得控除額の2分の1に相当する金額
ロ その年中の給与等の収入金額が1,500万円を超える場合 125万円
(2)  特定支出の範囲に、次に掲げる支出が追加されました。
イ 職務の遂行に直接必要な弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費
ロ 次に掲げる支出(その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限ります。)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者により証明がされたもの
(イ) 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するもの及び制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための支出
(ロ) 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出
この改正は、平成25年分以後の所得税について適用されます(平成24年改正法附則52)。

平成25年度 所得税の改正事項

住宅関連

1.住宅借入金等特別控除(措法41、41の2、41の2の2)について、次のとおり改正が行われました。
(1)適用対象となる認定低炭素住宅の範囲に、都市の低炭素化の促進に関する法律の規定により低炭素建築物とみなされる特定建築物に該当する家屋で一定のものが加えられました(措法41⑩)。
《適用関係》 この改正は、平成25年6月1日以後に自己の居住の用に供する特定建築物について適用されます(改正法附則54②)。
(2)住宅の取得等をして居住の用に供した居住者が、その居住の用に供した年に勤務先からの転任の命令等やむを得ない事由により転居した場合における再居住に係る特例について、その居住の用に供した年の12月31日までの間に再び居住の用に供した場合が、特例の対象に加えられました(措法41○21)。
《適用関係》 この改正は、平成25年1月1日以後に自己の居住の用に供しなくなった場合について適用されます(改正法附則54③)。
2.住宅特定改修特別税額控除(措法41の19の3)について、適用期限が平成29年12月31日まで5年延長されるとともに、次のとおり改正が行われました。
(1) 特定改修工事をして平成25年から平成29年までの間に居住の用に供した場合の改修工事限度額及び控除率等が次のとおりとされました(措法41の19の3)。
イ 一般断熱改修工事等の場合
居住年                             改修工事限度額     控除率   最大控除限度額
平成25年1月~平成26年3月  200万円(300万円) ※  10%    20万円(30万円)
平成26年4月~平成29年12月  250万円(350万円) ※  10%    25万円(35万円)
※ 断熱改修工事等と併せて太陽光発電設備の設置工事を行う場合の改修工事限度額です。
ロ 高齢者等居住改修工事等の場合
居住年                     改修工事限度額               控除率   最大控除限度額
平成25年1月~平成26年3月   150万円          10%      15万円
平成26年4月~平成29年12月   200万円         10%      20万円
ハ 特定改修工事をして平成26年4月から平成29年12月までの間に居住の用に供し、かつ、その特定改修工事に係る費用の額に含まれる消費税額等のうちに新消費税額等相当額が含まれている場合以外の場合には、上記イ又はロにかかわらず、一般断熱改修工事等については、改修工事限度額200万円(太陽光発電設備の設置工事を行う場合は300万円)、控除率10%とし、高齢者等居住改修工事等については、改修工事限度額150万円、控除率10%とされました(措法41の19の3)。

平成25年税制改正について

個人所得課税

1. 所得税の最高税率の見直し
格差の是正及び所得再分配機能の回復の観点か ら、現行の所得税の税率構造に加えて、課税所得 4,000万円超について45%の税率が創設されます。

2.金融・証券税制
家計の安定的な資産形成を支援するとともに、 経済成長に必要な成長資金の供給を拡大しデフレ 脱却を後押しする観点から、10年間、500万円の 非課税投資を可能とする日本版ISA(非課税口座 内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得 等の非課税措置)が創設されます。 また、税負担に左右されずに金融商品を選択で きるよう、金融所得課税の一体化の拡充(公社債等の利子及び譲渡損失並びに上場株式等に係る所 得等の金融商品間の損益通算範囲の拡大等)を行 うこととしています。

3.住宅税制
消費税率の引上げに伴う一時の税負担の増加による影響を平準化し緩和する観点から、住 宅ローン減税を平成26年1月1日から平成29年末 まで4年間延長し、その期間のうち平成26年4月 1日から平成29年末までに認定住宅(長期優良住 宅・低炭素住宅)を取得した場合の控除限度額を 500万円に、それ以外の住宅を取得した場合には 400万円にそれぞれ拡充することとしています。な お、東日本大震災の被災者が新たに再建住宅を取 得等する場合、住宅ローン減税の最大控除額を他 の地域よりさらに抜本的にかさ上げし、600万円 に引き上げることとしています。 また、自己資金で認定住宅を取得した場合及び 省エネ等の一定の住宅リフォームを行った場合の 所得税の住宅投資減税についても拡充することとし ています。

新年にあたり

四書五経の「大学」に、「君子に大道あり、必ず忠信以って之を得、驕泰(きょうたい)以って之を失う」とあります。
意訳しますと、「人間的にも社会的にも立派な人間に成長していくには一つの王道がある。会社や周囲の人のためを思い、必死になって仕事をした事を評価され、高い地位や名誉は与えられるものだが、多くの人は、自分が認められ、地位を得ると、驕り高ぶる気持ちが現れ、また、易きに流れて仕事を怠るようになりせっかく得た地位や名誉もやがて失うものである。」
自分も嬌泰を自省し謙虚な気持ちで一生懸命精進していきたいと思います。

税務訴訟における税理士保佐人について

現在、税務署を被告として延滞税の賦課に関する無効確認訴訟及び国家賠償法を求める訴訟を東京地裁に提起しています。税務署(国)を相手に税務訴訟した場合の納税者の勝訴率は国税庁の統計資料によれば、、7.6%となっています。
 なお、税理士が保佐人として関与した場合の納税者の勝訴割合は、25.57%と、平成22年度国税庁統計資料の3.3倍を超えています。

限定承認した場合

相続人が限定承認をした場合には、被相続人の有する資産(譲渡所得の基因となる資産に限ります)については、その相続時における時価により譲渡があったものとみなされます(所法59)。
したがって、被相続人の有する資産に含み益がある場合には、準確定申告の際に、被相続人にかかる所得税として課税されることになります。ただし、相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ所得税を納付する責任を負います。
また、遺言により法人に対して遺贈があった場合においても、その相続時における時価により譲渡があったものとみなされます。

配当所得の損益通算と扶養控除等

平成21年分の所得税確定申告から、「上場株式等に係る配当所得」と「株式等の譲渡損失及び過去3年以内に生じた繰越損失」が通算することができるようになりました。
株式の売買により損をされた方は、上場株式等の配当所得について申告分離課税を選択することで、上場株式等の配当金から源泉徴収された所得税が還付されます。
この通算制度を適用した場合の配偶者控除や扶養控除の判定については、上場株式等の配当所得と株式等の譲渡損失の損益通算後の所得をもって控除対象の判定をします。
(設 例)
扶養控除判定対象者の所得が、上場株式等の配当所得 95万円 、株式等の譲渡損失 △80万円の場合、通算後の所得金額が15万円となり、所得金額が38万円を超えないため、配偶者控除や扶養控除が受けられることになります。
①通算後の所得 95万円-80万円=15万円
②控除の判定となる合計所得金額 15万円 ≦ 38万円
一方、配偶者や扶養親族が、その年の上場株式等の配当所得と過去から繰り越してきた株式等の損失との通算をした場合、配偶者控除や扶養控除の判定については、株式等の繰越損失の損益通算前の配当所得で判定することになります。
(設 例)
扶養控除判定対象者の所得が、上場株式等の配当所得 95万円 、株式等の譲渡損失 △80万円の場合、通算後の所得金額が15万円となりますが、株式等の繰越損失の損益通算前の所得金額が38万円(95万円)を超えるため、配偶者控除や扶養控除が受けられません。
①通算後の所得 95万円-80万円=15万円

相続の開始時期

相続は、通常、人の死亡によって開始します(「自然的死亡」といいます)。
また、特殊なケースとして、生死不明の者に対して家庭裁判所が失踪宣告をした場合(「擬制死亡」といいます)や災害等により遺体が見つからない者に対して官公署が死亡を認定した場合(「認定死亡」といいます)にも相続は開始します。
「相続の開始時期」については、相続税の申告書の提出期限や納付期限等を判断する場合に問題となります。
(1) 自然的死亡
自然的死亡とは、老衰、病気、事故等により現実に死亡という事実が生じた場合をいい、その具体的な時期は、通常、医師が死亡診断書又は死体検案書に記載した「死亡の年月日時分」となります(民法882)。相続人等の利害関係人において死亡の事実を了知した日、死亡の届出日、死亡した旨が戸籍簿に記載された日のいずれでもありません。
(2) 擬制死亡
擬制死亡とは、不在者の生死が7年間明らかでないとき(「普通失踪」といいます),又は戦争、船舶の沈没、震災などの死亡の原因となる危難に遭遇しその危難が去った後その生死が1年間明らかでないとき(「危難失踪」といいます)、家庭裁判所への申立てにより、生死不明の者に対して,法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度です(民法30、31)。
(3) 認定死亡
認定死亡とは、水難、火災その他の事変によって、死亡したのは確実であるが、遺体が見つからない等の場合に、その取調べにあたった官公署が死亡地の市町村長に死亡の報告をして、戸籍上一応死亡として扱う制度です(戸籍法89、91)。