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代償分割とは?代償金の決め方や相続税の計算方法を解説
そのような場面で選択肢となるのが、代償分割という相続方法です。
本記事では、代償分割の仕組みや代償金の決め方、相続税の計算方法について解説します。
代償分割とは
代償分割とは、相続財産のうち特定の相続人が不動産のように現物のまま分けにくい財産をすべて取得し、その代わりに他の相続人へ代償金を支払うことで、相続分の調整を行う分割方法です。
不動産を売却せずに済むため、住み慣れた家を守りたいケースや、相続人間の公平性も確保したい場合などに利用されます。
代償金の決め方
代償金の金額は、相続人同士の合意のうえで決められます。
その際に用いられる主な算定方法には、次のようなものがあります。
時価を基準とする
不動産の時価とは、実際に市場で取引される価格のことです。
代償金の金額や遺産分割方法を検討する際には、不動産が持つ本来の経済的価値を反映した時価を基準とするのが一般的です。
時価を基に判断することで、相続人それぞれが納得しやすく、公平性を保ちやすくなります。
時価を調べる方法としては、複数の不動産会社に査定を依頼し、その平均値を参考にする方法が有効です。
また、不動産鑑定士による鑑定を受ける方法や、国土交通省が公表する公示地価を基に概算する方法もあります。
相続税評価額を基準とする
相続税評価額は、相続税や贈与税を計算するために用いられる価格です。
土地は路線価、建物は固定資産税評価額を基準に算出され、一般的に時価よりも低くなります。
そのため、相続税評価額を基に代償金を算定すると、時価を基準とした場合より金額が少なくなるケースが多い点には注意が必要です。
どの評価額を用いるかは、相続人全員の合意があれば選択することができます。
評価額に基づく代償金の決め方
代償分割における支払金額は、法定相続分を目安に決めるのが一般的です。
法定相続分とは、民法で定められた相続人ごとの取得割合であり、相続の公平性を判断する基準となります。
代償金は、この法定相続分と実際に取得する財産額との差を基に算定することで、金額に偏りが生じにくくなります。
相続人全員の合意があれば別の基準を用いることも可能ですが、代償金が法定相続分を大きく超える場合には贈与税が課されるおそれがあるため注意が必要です。
代償分割をした場合の相続税の計算
代償分割を行った場合、相続税の課税価格は、代償金を支払った相続人と、受け取った相続人とで計算方法が異なります。
ここでは、基本的な相続税の課税価格の計算方法を説明します。
代償金を支払った相続人の課税価格は、「相続で取得した財産の価額 – 支払った代償金の額」で計算します。
一方、代償金を受け取った相続人については、「相続で取得した財産の価額 + 受け取った代償金の額」が課税価格となります。
このように、代償金は相続財産の調整項目として計算されます。
具体的な計算例
代償金をどの評価額を基準に決めたかによって、相続税の課税価格は変わります。
たとえば、相続税評価額3000万円(時価4000万円)の不動産を長男が取得し、長女に1000万円の代償金を支払ったケースについて考えていきます。
この場合の相続税評価額と時価、それぞれを基準にした場合の計算方法は以下のとおりです。
相続税評価額を基準とした場合
代償金を相続税評価額を基準に決めた場合、課税価格は次のように計算されます。
・長女:0円 + 1000万円 = 1000万円
このように、代償金を相続税評価額ベースで設定した場合は、代償金の金額をそのまま用いて課税価格を計算できるため、相続税の計算が分かりやすい点が特徴です。
時価を基準とした場合
次に、時価を基準に決めた場合は、相続税評価額に引き直して計算する必要があります。
・長女:0円 +{1000万円 ×(3000万円 ÷ 4000万円)}= 750万円
このように、時価を基準に代償金を決めた場合は計算が複雑となるため注意が必要です。
遺産分割協議書に明記する
代償分割を行う場合は、その内容を遺産分割協議書に正確に記載することが重要となります。
誰がどの財産を取得し、代償金をいくら支払うのかを明確にすることで、税務上のリスクや後のトラブルを防ぐことができます。
まとめ
代償分割は、不動産を特定の相続人が引き継ぎつつ、相続人間の公平性を確保できる相続方法です。
代償金の決め方や相続税の計算には注意点も多いため、慎重な検討が必要です。
代償分割を検討している場合は、専門家である税理士に相談することをおすすめします。
文責:
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- 税理士 天池 健治
- 天池 健治 税理士のプロフィール
- 税理士 / 証券アナリスト / 宅建士 / 公認コンサルタント







