相続税の計算方法について手順を解説

相続が発生したけど、相続税の計算方法についての知識がないのでどのように計算したらいいのかわからない、といったお悩みをお持ちの方もいるかもしれません。
今回は、相続税の計算方法について手順を解説していきたいと思います。

相続税の計算手順について

相続税の計算において、まずは遺産とその価値を知ることから始まり、課税遺産総額の計算から相続人に応じた相続税を算出して、最後に適用可能な控除を反映していく流れになります。
相続税の計算について、具体的には以下のような手順で行っていきます。

  • 遺産の総額を計算する
  • 遺産総額から基礎控除額を引いて課税遺産総額を計算する
  • 相続税の総額を算出する
  • 各相続人の相続税額を計算する
  • 各種控除を反映させる

それぞれの手順について、確認していきたいと思います。

遺産の総額を計算する

遺産総額の計算式は、以下のような式になります。

遺産総額=(プラスの財産+みなし相続財産+相続開始前7年以内の贈与)-マイナスの財産

プラスの財産について、建物や土地などの不動産は評価額を計算した上で、遺産総額に入れる必要があります。
その際、小規模宅地等の特例など、特例が活用できる可能性があるため確認をしていく必要があります。
仮に特例を活用することができた場合は、節税につなげることができます。

みなし相続財産とは、死亡保険金または死亡退職金を指します。
死亡をきっかけに死亡保険金や死亡退職金を受け取ることで、相続人は利益を得ることになるため、相続財産のひとつとして遺産総額に含めなければなりません。
ただし、死亡保険金と死亡退職金には「相続人の数×500万円」の非課税枠があるため、この非課税枠を活用することができます。

相続開始前から7年以内において、被相続人から相続人に対しておこなわれた贈与は相続財産に加算しなければなりません。
贈与税の非課税範囲に収まっている場合や、贈与税の申告を済ませている場合でも、贈与財産を相続財産に含めて再計算する必要があります。

マイナスの財産については、借金などの債務や葬式費用などが含まれます。
このようにして、財産の確認を行いながら遺産総額を算出していきます。

遺産総額から基礎控除額を引いて課税遺産総額を計算する

相続税は、課税遺産総額に対してかかる税金のため、遺産総額から基礎控除額を引いて、課税遺産総額を算出していきます。
遺産総額から基礎控除額を差し引いて計算することになり、基礎控除額の計算式は、以下のような式になります。

基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

仮に基礎控除額が、算出された遺産総額を下回る場合には、相続税はかからず、基礎控除額を上回った部分に対してのみ相続税が課税されることになります。

相続税の総額を算出する

課税遺産総額を使い、相続税の算出をしていきます。
法定相続人が複数いる場合には、まず、課税遺産総額を法定相続分で按分します。
法定相続分とは、法律で定められている各相続人の相続割合のことをいいます。

次に、各相続人が課税遺産総額の法定相続分を相続するとして、それぞれの相続税額を計算します。
税率と控除額は法定相続分による取得金額ごとに、定められています。
相続人ごとに相続税額を算出したら、各相続人の相続税額を合算して相続税の総額を求めていくことになります。

各相続人の相続税額を計算する

相続税は遺産全体にまとめて課税されるものではなく、相続割合に応じて相続人ごとに課税されるのが基本的な仕組みとなっています。
そのため、実際の相続割合にあわせて、算出した相続税の総額を割り振らなければなりません。
たとえば、相続税の総額が900万円で、配偶者と子ども2人が財産をそれぞれ3分の1ずつ相続するケースでは、それぞれの相続税額は300万円ずつになります。

各種控除を反映させる

相続税には、相続人それぞれの事情によって活用できる各種控除の制度があります。
ただし、各種控除を適用した結果として相続税が0円になる場合でも、相続税の申告は必要なものもありますので注意が必要です。
主な種類として、以下のような控除が活用できる可能性があります。

  • 配偶者控除(配偶者が遺産を相続する際、1億6,000万円、または法定相続分まで控除できる制度)
  • 未成年者控除(相続人が未成年の場合、本来納める相続税額から一定額を控除できる制度)
  • 障害者控除(相続人が障害者の場合、本来納める相続税額から一定額を控除できる制度)

相続税額から適用可能な各種控除を反映させて、相続税額を算出していくことになります。

まとめ

今回は、相続税の計算方法について手順を確認していきました。
相続税の計算については、相続財産に不動産が含まれる場合や生前贈与が行われている場合には、複雑な計算が必要になる可能性があります。
相続税の計算についてお悩みの場合や、相続税控除や特例制度を活用した節税対策について相談したい場合には、税理士に依頼することを検討してみてください

文責:

天池 健治 税理士
税理士 天池 健治
税理士 / 証券アナリスト / 宅建士 / 公認コンサルタント