相続の手続きは税理士に依頼したほうがいい?しなくてもいいケースについても解説

相続については、手続きが複雑な上、手続きの期限が定めれられているため、自身で行うには不安に思う方もいるかもしれません。
今回は、相続の手続きにおいて、税理士に依頼したほうがいいケースについて、判断のポイントと併せてケース別に解説していきたいと思います。

税理士に依頼しなくてもいいケース

相続が発生した場合、必ず相続税の申告が必要になるというわけではありません。
相続税には基礎控除額というものが設定されており、基本的に、その額を超えなければ納税の必要がありません。
相続税における基礎控除額の計算方法は、3000万円+(600万円×相続人数)で算出することができます。
したがって、相続財産調査を行っ他結果、相続財産が明らかに基礎控除額を下回っている場合には、相続税申告が必要ないため、税理士に依頼する必要はありません。
ただし、不動産など評価が難しい財産がある場合、価値の算定方法が誤っていいるなどのときには、相続税が発生する可能性もありますので、自身での判断が難しい場合や不安に感じることがあれば、税理士に相談する方がいいかもしれません。

相続財産が基礎控除額を超えるケース

相続財産が基礎控除額を超えるケースでは、相続税の申告が必要となるため、すべての財産について申告をする必要があるため、税理士に依頼した方がいい可能性があります。
例えば、不動産の評価については、複雑で特例の判断なども必要となりますので、専門的な知識がないと、誤った申告をしてしまうリスクがあります。
仮に誤って、高い評価額をつけてしまった場合、本来納税すべき額よりも高額の納税をしたからといって、税務署からの還付などはしてくれませんので注意が必要です。

相続財産の種類が多いケース

相続財産が不動産や有価証券など種類が多いケースでは、自己申告は難しいため、税理士に依頼した方がいい可能性があります。
土地や建物、複数の有価証券、さらには事業や企業の株式など多岐にわたる財産が存在する場合、自己申告では適切な評価や算出が難しく、手続きに時間を要します。
相続税の申告から納税までには、被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内という期限があります。
また、亡くなってからの手続きは年金受給停止、介護保険資格喪失届、住民票の変更届、葬儀の準備など様々な手続きを行っていかなければなりませんので、相続税の申告まで手が回らない可能性があります。
税理士に依頼することで、相続税について悩む時間や手続きに要する時間や労力を減らすことが期待できます。

不動産などについて適切な評価をしてもらいたいケース

税理士に依頼をして適切な相続税評価をしてもらうことで、相続税を減額できる可能性があります。
例えば、土地などの不動産の評価については高度な税務上の判断が必要となるため、相続財産の適切な評価を行うためには専門的な知識が必要となります。
税理士に依頼することで、税理士は土地の形状や立地などの様々な条件を考慮して、相続税額を引き下げるような減額要素がないかを確認していきます。
特に小規模宅地等の特例を適用する場合は、確認すべき事項や添付書類が多くあるため、自身で手続きを進めることが難しいため、税理士に依頼した方が円滑に手続きを進められる可能性が高まります。
また、老人ホーム入居の有無、二世帯住宅、賃貸物件、駐車場の土地など、税理士に様々な状況を考慮して判断してもらうことで、特例の適用漏れによって無駄に納税してしまうような事態を避けることができる可能性があります。
相続税には財産の評価額を大きく下げ、相続税額を減らすことのできる特例などがいくつかありますが、特例の適用には条件があり、当てはまらない場合は適用することができません。
自身での判断が難しい場合には税理士へ相談することで、特例の適用についてアドバイスをもらうことができ、相続税額を減額できる可能性が高まります。

税務調査のリスクを下げたいケース

税理士は税務調査の対象となりやすいポイントを理解しており、自分では気づきにくい名義財産や申告すべき生前贈与の申告漏れを防ぐことができます。
税理士に依頼することで、税務調査リスクを下げることにつながります。
仮に、税務調査が入った場合でも税理士に依頼することで、自身が税務調査に割くはずだった時間や労力が削減されることが期待できます。

まとめ

今回は、相続の手続きにおいて、税理士に依頼したほうがいいケースについて、ケース別に確認していきました。
相続税の申告から納税については、期限が定められていますので、早めの対応が必要となります。
また、税理士に依頼することで、自身では判断することが難しい不動産などの財産について適切な評価をしてもらえることが期待でき、節税につながる可能性が高まります。
相続財産が明らかに基礎控除額を下回っている場合については、税理士に依頼する必要はありませんが、相続税の申告について不安な場合や判断に迷った場合には、税理士に相談することを検討してみてください。

文責:

天池 健治 税理士
税理士 天池 健治
税理士 / 証券アナリスト / 宅建士 / 公認コンサルタント