換価分割とは?メリットや適しているケースを解説

相続財産の大半が不動産や有価証券などの分けにくい資産で占められている場合、相続人全員で公平に分けることが難しくなることがあります。
そうしたケースで、財産を現金化して分配する方法として選ばれるのが換価分割です。
本記事では、相続方法の1つである換価分割について、その仕組みやメリット・デメリット、適しているケースを解説します。

換価分割とは

換価分割とは、相続財産をいったん売却して現金化し、その売却代金を相続人同士で分ける相続方法です。
主に不動産や株式など、現物のままでは公平に分けにくい財産がある場合に用いられます。
相続人が実際に取得するのは現金となるため、分配が明確になる点が特徴です。

換価分割の基本的な流れ

まず、相続人全員で遺産分割協議を行い、換価分割を行うことを合意します。
次に、不動産などの相続財産を売却し、売却代金を確定させます。
その後、売却によって得た現金を、あらかじめ決めた割合で相続人に分配します。

換価分割のメリット

換価分割は、相続人全員にとって分かりやすく、納得感を得やすい点が大きな特徴です。
ここでは、換価分割のメリットについて主なものを解説していきます。

公平に分配しやすい

換価分割では、財産を現金に換えてから分けるため、金額が明確になります。
誰がどれだけ相続したのかが一目で分かるため、不公平感が生じにくくなり、相続人間のトラブル防止にもつながります。

管理や維持の負担が残らない

不動産を現物のまま相続すると、固定資産税や修繕費、管理の手間が発生します。
換価分割であれば、不動産を所有し続ける必要がなく、将来的な負担を回避することができます。

納税資金を確保できる

相続税は原則として現金で納付しなければなりませんが、相続財産の多くが不動産の場合、納税資金を用意できずに困るケースも少なくありません。
そのような場合でも、換価分割によって不動産を売却すれば、まとまった現金を確保することができます。
相続税の申告・納付期限は相続開始から10か月以内と定められているため、換価分割によって早期に納税資金を準備できる点は、大きなメリットといえるでしょう。

相続後の活用方針で悩まなくてよい

不動産を相続したものの、住む予定も活用予定もないケースは珍しくありません。
換価分割を選べば、売るか貸すかといった判断に悩む必要がなくなります。

換価分割のデメリットと注意点

一方で、換価分割には以下のような注意すべき点もあります。

売却までに時間がかかる場合がある

不動産の売却には、一定の時間がかかります。
市場状況によっては、すぐに買い手が見つからないこともあります。
相続手続きを早く終えたい場合には、デメリットとなる可能性があります。

売却に伴う費用が発生する

不動産を売却する際には、仲介手数料や登記費用などが必要になります。
これらの費用は、売却代金から差し引かれるため、手取り額が減少します。

譲渡所得税がかかる可能性

換価分割で不動産を売却した場合、譲渡所得税が課税されることがあります。
取得費や譲渡費用を差し引いた利益が出た場合には、税金が発生します。
税負担を事前にシミュレーションしておくことが大切です。

換価分割が適しているケース

換価分割は、すべての相続に向いているわけではありません。
主に次のようなケースでは、とくに有効な方法といえます。

相続人全員が不動産を必要としていない場合

相続人の誰も不動産に住む予定がなく、活用の意思もない場合には、換価分割が適しています。
現金で分けることで、相続後の負担を最小限に抑えられます。

相続人の人数が多い場合

相続人が多いと、現物分割では公平性を保つのが難しくなります。
換価分割であれば、人数が多くても分配が明確になります。

相続人間のトラブルを避けたい場合

感情的な対立が生じやすい相続では、客観的な基準で分けられる方法が有効です。
換価分割は、トラブル回避の観点からも選ばれやすい方法です。

他の分割方法との違い

相続には、換価分割以外にも主に以下のような分割方法があります。

現物分割

現物分割は、不動産などをそのまま相続人に割り当てる方法です。
資産を手放さずに済む反面、公平性や納税資金の確保が難しい場合があります。

代償分割

代償分割は、特定の相続人が財産を取得し、他の相続人に現金を支払う方法です。
不動産を売却したり共有名義にしたりする手間が省け、公平な分割が可能な一方で、代償金を支払う側に十分な資金力が必要になります。

まとめ

換価分割は、相続財産を売却して現金で分けることで、公平性を保ちやすい相続方法です。
不動産中心の相続や、相続人間のトラブルを避けたい場合に有効です。
換価分割を検討している場合は、専門家である税理士に相談することをおすすめします。

文責:

天池 健治 税理士
税理士 天池 健治
税理士 / 証券アナリスト / 宅建士 / 公認コンサルタント