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相続税申告を自分で申告する場合の注意点
専門家へ依頼するより費用を抑えられる一方で、手続きの複雑さから思わぬ落とし穴もあります。
本記事では、相続税申告の基本や自分で申告する際に注意したいポイントを紹介します。
相続税申告が必要となるケース
相続税の申告は、すべての相続で必要なわけではありません。
相続財産の総額が「基礎控除額」を超える場合に限り、申告と納税が必要になります。
この基礎控除額は、以下の計算式で求められます。
たとえば、相続人が配偶者と子1人の合計2人である場合、基礎控除額は以下のようになります。
この場合、相続財産が4200万円以下であれば相続税は発生せず、申告手続きも不要となります。
相続税申告の基本的な流れと注意点
相続税申告を自分で進めるためには、全体の流れを正しく理解しておくことが必要です。
ここでは、相続税申告の主要なステップと、それぞれのポイントを説明します。
相続財産と相続人の確定
最初に行うべき作業は、相続財産と相続人の確定です。
被相続人が所有していた預貯金、不動産、有価証券、生命保険金、債務などを漏れなく洗い出し、一覧にまとめます。
同時に、出生から死亡までの戸籍謄本を収集して相続人を特定します。
これらの情報は申告手続き全体の基礎となるため、丁寧かつ正確な確認が求められます。
財産評価の実施
財産の把握ができたら、次に相続財産の評価を行います。
たとえば、不動産は国税庁の路線価や固定資産税評価額などを用いて計算し、株式は時価で評価する必要があります。
財産評価は相続税額を大きく左右するため、誤りのないよう慎重に進めることが重要です。
遺産分割協議の実施
財産評価が完了したら、相続人全員で遺産分割協議を行います。
協議は相続人全員の合意が必要で、合意内容は「遺産分割協議書」にまとめ、全員の署名押印を行います。
この協議書は相続税申告書に添付する重要書類となります。
相続税の計算と申告書の作成
遺産分割が整ったら相続税の計算に入ります。
相続財産の総額から基礎控除額を差し引き、課税対象額を算出します。
次に、法定相続分に基づく仮の取得額を用いて税率を適用し、全体の相続税額を求めます。
最終的には、実際の取得割合に応じて各相続人の負担額を按分し、申告書へ記載します。
申告書の提出と納税
申告書は、被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署へ提出します。
提出と納税の期限は、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内です。
たとえば、2025年1月15日に亡くなった場合、申告期限は同年11月15日となります。
自分で相続税申告を行う際の主な注意点
自分で相続税申告を行う際の注意点としては、主に以下が挙げられます。
評価額の算出における注意点
相続財産の評価は、相続税の税額を決定する根幹となる作業です。
とくに不動産の評価は複雑で、土地は路線価方式または倍率方式、建物は固定資産税評価額を基準として算出します。
これらの評価方法を誤ると、実際よりも高い税額を支払ってしまったり、過少申告となって追徴課税されることもあり得ます。
名義預金に注意
名義預金とは、口座の名前は家族でも、実際にお金を用意したのが被相続人である場合を指し、相続では被相続人の財産として扱われることがあります。
名義だけで判断されず、実際に誰が入金・管理していたかで相続財産とみなされるため注意が必要です。
申告書作成と提出時のポイント
相続税申告書は、多くの添付書類が必要となります。
たとえば、戸籍謄本、残高証明書、不動産の登記事項証明書、遺言書または遺産分割協議書、生命保険の支払通知書など、多数の書類が必要です。
これらは取得に時間がかかることもあるため、早めに収集を開始しましょう。
申告期限を過ぎた場合にかかるペナルティ
相続税の申告が期限に間に合わなかった場合、ペナルティとして「加算税」や「延滞税」が発生します。
まず、期限内に申告しなかった場合には「無申告加算税」が課され、通常は15%(税務調査を受ける前に自主的に申告すれば5%)の税率となります。
さらに、納税が遅れた場合には利息にあたる「延滞税」が加算されます。
その税率は、納期限の翌日から2か月以内が年2.4%、2か月を超えると年8.7%と高くなります(令和7年12月時点)。
期限内に申告・納税を行えるようにスケジュール管理が重要となります。
未分割申告の注意点
申告期限までに遺産分割がまとまらない場合、未分割の状態で一旦申告することが可能です。
ただし、この場合は特例の一部が使えないことがあり、後日「更正の請求」や「修正申告」が必要になる点に注意が必要です。
手続きが二段階となるため、可能であれば期限内に遺産分割を完了させることが望ましいといえます。
まとめ
相続税申告を自分で行うことは可能ですが、正確な財産把握、評価方法の理解、添付書類の準備など、多くの手間と専門性が求められます。
申告漏れや誤りは後日の税務調査や追徴課税に直結するため、慎重な対応が必要です。
相続税申告について不安がある方は、専門家である税理士に相談することをおすすめします。
文責:
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- 税理士 天池 健治
- 天池 健治 税理士のプロフィール
- 税理士 / 証券アナリスト / 宅建士 / 公認コンサルタント







