相続お役立ち情報

相続税の申告期限後に賞与が確定した場合

役員であった被相続人の相続税の申告期限までに役員賞与が確定していなかった場合、申告期限後に被相続人の役員賞与がの支給があったときには相続税の修正申告が必要になります。
この相続税の修正申告にともない過少申告加算税や延滞税が課税されるのかどうかといったことが問題となります。

【延滞税】
延滞税については、相続税法第51条(延滞税の特則)の規定により、「期限内申告書の提出期限後に支給が確定した相続税法第3条第1項第2号に掲げる給与の支給を受けた場合については延滞税を課税しない」となているが、相続税基本通達3-32(被相続人の死亡後確定した賞与)において「被相続人が受けるべきであった賞与の額が被相続人の死亡後確定したものは、法第3条第1項第2号に規定する退職手当金等には該当しないで、本来の相続財産に属するものであるから留意する。」となっており、提出期限後に支給が確定した賞与は、相続税法第3条第1項第2号に該当しないとなっていることから、相続税法第51条(延滞税の特則)の規定が適用できないのではないかが問題となるのではあるが、この場合においても相続人にとって未確定の賞与を相続財産として申告させることが酷であり、担税力などの問題もあることなどから、延滞税を課さない正当事由があると考えられます。

【過少申告加算税】
過少申告加算税については、国税通則法第65条5項の規定で「修正申告の計算の基礎とされていなかつたことについて正当な理由があると認められるものがある場合は、その正当な理由があると認められる事実に基づく税額については過少申告加算税を課さない」となっています。
また、この規定の「正当な理由」については、国税庁の事務運営指針(相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて)で「相続税の申告書の提出期限後において、相続税法第51条第2項各号に掲げる事由が生じたこと。」としています。
この場合においても、提出期限後に支給が確定した賞与は、相続税法第51条の規定が適用できないことから、過少申告加算税を課さない「正当な理由」に該当しないのではないかと考えられますが、延滞税の考え方と同様に過少申告加算税を課さない正当な理由があるものと考えられます。

 

 

 

文責:

天池 健治 税理士
税理士 天池 健治
税理士 / 証券アナリスト / 宅建士 / 公認コンサルタント