財産評価のチェックポイント

0. 総則・実務上の重要留意事項

財産評価基本通達6項(総則6項)の適用リスク

重要度: 5 / 5
誤り事例:
相続開始直前に多額の借入れを行って収益不動産を取得し、財産評価基本通達に基づく通常の路線価・倍率方式による評価額と、取得価額・不動産鑑定評価額との間に著しい乖離があるにもかかわらず、機械的に通達評価額をそのまま採用して申告した。
正しい評価方法:
通達評価額と実勢価格(鑑定評価額等)との間に著しい乖離があり、かつ、専ら相続税の負担軽減を目的として不動産の取得・借入れが行われたと認められるなど「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる」特別の事情がある場合には、総則6項に基づき、通達評価額ではなく不動産鑑定評価額等の他の合理的な方法による評価が行われることがあります(最高裁令和4年4月19日判決)。取得の時期・目的、借入れの経緯、乖離の程度等を総合的に検討し、行き過ぎた節税スキームでないかを確認する必要があります。
関係法令・通達
評価通達6(この通達の定めにより難い場合の評価)

小規模宅地等の特例の適用要件・限度面積

重要度: 5 / 5
誤り事例:
特定居住用宅地等(限度面積330㎡、減額80%)と貸付事業用宅地等(限度面積200㎡、減額50%)を併用する際に、限度面積の調整計算(按分計算)を行わずにそれぞれの上限面積をそのまま適用して過大な減額を行った。また、相続時精算課税により生前贈与を受けていた宅地等について、本特例の対象になるものと誤認した。
正しい評価方法:
小規模宅地等の特例は、財産評価そのものではなく、評価後の課税価格の計算上一定の面積まで評価額を減額する特例であるため、まず評価通達に基づく通常の評価額を確定させた上で、宅地等の区分(特定居住用・特定事業用・特定同族会社事業用・貸付事業用)ごとの要件充足性、限度面積の調整計算(貸付事業用宅地等を含む場合の按分算式)を正しく適用する必要があります。相続時精算課税適用財産及び暦年課税による生前贈与加算の対象となった宅地等は、原則として本特例の対象になりません。
関係法令・通達
租税特別措置法69条の4(小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例)

未分割財産の相続税申告における評価上の留意点

重要度: 4 / 5
誤り事例:
申告期限までに遺産分割が確定していない財産について、評価そのものを保留したまま申告書を提出した。また、未分割の状態で小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減の適用を受けようとした。
正しい評価方法:
遺産が未分割の場合であっても、各共同相続人が民法に規定する相続分(法定相続分又は包括遺贈の割合)に従って財産を取得したものとして、通常どおり評価通達に基づく評価を行った上で申告する必要があります。小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は、原則として未分割の財産には適用できませんが、申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して申告し、その後の分割確定後4か月以内に更正の請求を行うことで、遡って適用を受けることができます。
関係法令・通達
相続税法55条(未分割遺産に対する課税)、租税特別措置法69条の4第4項

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