財産評価のチェックポイント

2. 債務

借入金 / 未払金 / クレジットカードの未払額 / 団体信用保険の住宅ローン

重要度: 4 / 5
誤り事例:
団体信用生命保険が付保されている住宅ローンについて、被相続人の死亡により保険金で完済されるにもかかわらず、当該住宅ローン残高を債務控除の対象とした。
正しい評価方法:
団体信用生命保険により保険金で完済される住宅ローンは、被相続人の債務として現実に相続人が承継・弁済するものではないため、原則として債務控除の対象とはなりません。それ以外の借入金、未払金、クレジットカードの未払額は、課税時期現在の残高を確定金額により債務控除します。
関係法令・通達
相続税法13条及び相続税法基本通達13-1以下

公租公課 / 所得税 / 住民税 / 事業税 / 市県民税 / 固定資産税 / 地方税 / 消費税 / 介護保険料 / 後期高齢者医療保険料 / 国民健康保険料 / 公共料金

重要度: 4 / 5
誤り事例:
被相続人の死亡時点で納期未到来の固定資産税や住民税について、賦課期日(1月1日)時点で納税義務が生じていることを見落とし、債務控除の対象から除外した。
正しい評価方法:
被相続人の死亡時点で納税義務が確定している公租公課(賦課期日が到来しているが納期限が未到来のものを含む)は、未払いの金額を債務控除の対象とします。準確定申告により確定する所得税・消費税等の未払額も同様に債務控除の対象とします。
関係法令・通達
相続税法13条14条(債務控除)、相続税法基本通達13-713-8

前受賃料

重要度: 2 / 5
誤り事例:
賃貸不動産の前受賃料(課税時期後の期間に対応する部分)について、債務として認識せず未収賃料と同様に資産として計上した。
正しい評価方法:
課税時期後の期間に対応する前受賃料は、賃借人に対する返還義務(または役務未提供部分に対応する債務)として、日割り計算等により算定した金額を債務控除の対象とすることを検討します。
関係法令・通達
相続税法13条及び相続税法基本通達13-1以下

延滞税・延滞金 / 加算税 / 過少申告加算税 / 重加算税 / 利子税 / 罰金 / 追徴金

重要度: 3 / 5
誤り事例:
被相続人が生前に賦課されていた延滞税、加算税、罰金等について、通常の公租公課と同様にすべて債務控除の対象とした。
正しい評価方法:
被相続人の生前の税務調査等に起因する延滞税・利子税のうち被相続人の債務として確定しているものは債務控除の対象となりますが、加算税(過少申告加算税、重加算税等)や罰金は、被相続人の一身専属的な制裁的性質を有するものとして、債務控除の対象とならない場合がある点に留意し、個別に確認する必要があります。
関係法令・通達
相続税法13条及び相続税法基本通達13-1以下

損害賠償金債務 / 保証債務 / 連帯債務

重要度: 3 / 5
誤り事例:
主債務者の資力が十分であるにもかかわらず、被相続人の保証債務全額を無条件に債務控除の対象とした。連帯債務について、被相続人の負担部分を超えて全額を控除した。
正しい評価方法:
保証債務は、原則として主債務者が弁済不能の状態にあり、保証人が現実に履行しなければならず、かつ主債務者に求償しても弁済を受ける見込みがない場合に限り債務控除が認められます。連帯債務は、被相続人の負担すべき部分が明らかである場合、その負担部分の金額のみを債務控除します。
関係法令・通達
相続税法13条及び相続税法基本通達13-1以下

退職金を支給した場合

重要度: 2 / 5
誤り事例:
被相続人が事業主として使用人に支給すべき退職金について、支給が確定しているにもかかわらず債務控除の対象から漏らした。
正しい評価方法:
被相続人の死亡時点で使用人等に対する退職金の支給が確定している場合、その未払額は事業上の債務として債務控除の対象とします。
関係法令・通達
相続税法13条及び相続税法基本通達13-1以下

抵当権が設定されている土地

重要度: 3 / 5
誤り事例:
抵当権が設定されている土地について、抵当権による担保価値の減少を理由に土地の評価額自体を減額した。
正しい評価方法:
抵当権の目的となっている土地であっても、原則として土地自体の評価額は減額せず、被担保債務(借入金残高)を別途債務控除の対象として計上します(担保設定の事実は評価額に直接影響しません)。
関係法令・通達
相続税法13条及び相続税法基本通達13-1以下

消滅時効の完成した債務

重要度: 2 / 5
誤り事例:
消滅時効が完成しているものの、被相続人(相続人)が時効の援用をしていない債務について、債務控除の対象から一律に除外した。
正しい評価方法:
消滅時効が完成していても、時効の援用がなされていない限り債務は消滅していないものとして扱われるため、現実に存在し確実と認められる債務は原則として債務控除の対象とすることができます(個別の事実関係を確認する必要があります)。
関係法令・通達
相続税法13条及び相続税法基本通達13-1以下

遺言執行費用 / 税理士費用 / 相続財産に関する費用 / 相続登記費用

重要度: 4 / 5
誤り事例:
遺言執行費用、相続税申告のための税理士報酬、相続登記費用等の相続手続に付随する諸費用について、被相続人の債務と同様に債務控除の対象とした。
正しい評価方法:
遺言執行費用、税理士費用、相続登記費用等の相続開始後に相続人が負担する諸費用は、被相続人の債務ではなく相続手続に伴い相続人が新たに負担する費用であるため、原則として債務控除の対象とはなりません。
関係法令・通達
相続税法13条及び相続税法基本通達13-1以下

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