- 誤り事例:
- 信託受益権について、信託財産の構成(不動産、金銭等)にかかわらず一律の評価方法を適用した。
- 正しい評価方法:
- 信託受益権は、原則として信託財産を委託者が所有するものとみなして評価する取扱い(信託財産の構成資産ごとの評価額を合計する方法)によります。元本と収益受益権が分離されている場合はそれぞれの評価方法によります。
- 関係法令・通達
- 評価通達202(信託受益権の評価)
- 誤り事例:
- 委託者兼受益者が死亡した場合の家族信託(民事信託)について、信託契約の存在自体を見落として申告から漏らした。また、跡継ぎ遺贈型受益者連続信託や受益権が複層化(元本受益権と収益受益権に分離)されている信託について、通常の信託受益権と同一の評価方法をそのまま適用した。
- 正しい評価方法:
- 家族信託は信託法・相続税法上「信託に関する権利」として扱われ、委託者が有していた信託財産は原則として評価通達202に準じて評価します。ただし、受益者連続型信託(受益者の死亡により次の受益者が権利を取得する型)や、受益権が元本受益権と収益受益権に複層化されている信託については、それぞれの受益権の内容に応じた個別の評価上の取扱いがあるため、信託契約書の内容(受益者の範囲、順位、分配方法等)を必ず確認する必要があります。
- 関係法令・通達
- 相続税法9条の2〜9条の3(信託に関する権利の贈与等)、評価通達202
- 誤り事例:
- NFT(非代替性トークン)やメタバース内の資産、オンラインゲーム内の課金アイテム等、暗号資産以外のデジタル資産について、財産性の有無を検討せず申告から漏らした。
- 正しい評価方法:
- 暗号資産以外のデジタル資産についても、財産的価値があり換金性・移転性が認められる場合には相続税の課税対象となり得ます。財産評価基本通達に明文の評価方法の定めがないため、活発な市場が存在する場合は課税時期における取引価格を、存在しない場合は売買実例価額や精通者意見価格等を参酌して個別に評価を検討する必要があります。
- 関係法令・通達
- 評価通達5(評価方法の定めのない財産の評価)
- 誤り事例:
- 投資型・貸付型クラウドファンディングの出資持分や貸付債権について、評価そのものを失念した。
- 正しい評価方法:
- クラウドファンディングにより取得した権利は、その法的性質(匿名組合出資、貸付債権、株式等のいずれに該当するか)を契約書等により確認し、該当する性質に応じた財産の評価方法(匿名組合出資持分、貸付金債権、取引相場のない株式等の評価方法)を参考に、個別に評価を検討します。
- 関係法令・通達
- 評価通達5、204及び該当する個別通達
- 誤り事例:
- 暗号資産(仮想通貨)について、取得価額をそのまま評価額とした、又は取引所ごとに複数の気配値がある場合の取扱いを検討しなかった。
- 正しい評価方法:
- 活発な市場が存在する暗号資産は、原則として課税時期における取引価格(納税者が取引を行っている取引所の課税時期の終値等)により評価します。活発な市場が存在しない場合は、売買実例価額や精通者意見価格等を参酌して個別に評価します。
- 関係法令・通達
- 評価通達5、204及び該当する個別通達
- 誤り事例:
- 未使用の商品券・ギフトカード等の少額な換金性資産について、財産として計上せず評価を失念した。
- 正しい評価方法:
- 未使用の商品券等は、原則としてその券面額(換金可能な金額)により評価します。少額なものは重要性の観点から取扱いに配慮しつつも、原則として計上が必要です。
- 関係法令・通達
- 評価通達5、204及び該当する個別通達
- 誤り事例:
- 被相続人の準確定申告等により生じる所得税・消費税等の還付金・還付加算金について、相続財産(未収入金)としての計上を失念した。
- 正しい評価方法:
- 被相続人の死亡後に確定する各種還付金・過納金・還付加算金については、相続開始時に還付請求権が発生しているか、その発生原因となる事実が確定しているかを確認した上で、相続財産(未収入金)への計上の要否を判定します。
- 関係法令・通達
- 評価通達5、204及び該当する個別通達
- 誤り事例:
- 被相続人の入居していた介護施設の未精算金(返還金)や高額療養費の還付金等について、相続財産への計上を失念した。
- 正しい評価方法:
- 相続開始時点で請求権が発生していると認められる介護施設の未精算返還金、高額療養費、医療費助成金等は、未収入金として相続財産に計上します。
- 関係法令・通達
- 評価通達5、204及び該当する個別通達
- 誤り事例:
- 所有権留保特約付きの売買契約に基づき使用している不動産について、買主(被相続人)の財産として計上しなかった、又は逆に売主の留保所有権を無視して全額買主の財産とした。
- 正しい評価方法:
- 所有権留保特約付き売買契約の経済的実質が代金債権の担保であることを踏まえ、買主が有する使用収益権の状況及び残債務の内容を確認した上で、契約の実態に応じた評価・計上の要否を個別に検討します。
- 関係法令・通達
- 評価通達5、204及び該当する個別通達
- 誤り事例:
- 寺社等への勧進(寄進)に関連する権利・拠出金について、財産性の有無を検討せず一律に評価対象とした、又は失念した。
- 正しい評価方法:
- 勧進に関する権利は、その性質(寄付であり対価性・返還請求権がないものか、何らかの権利性が残るものか)を個別に確認し、返還請求権等の財産性が認められる場合にのみ、その内容に応じた評価を行います。
- 関係法令・通達
- 評価通達5、204及び該当する個別通達