財産評価のチェックポイント

財産評価のチェックポイント

弔慰金 / セイフティ共済の解約手当金

重要度: 4 / 5
誤り事例:
勤務先から支給された弔慰金について、金額の多寡にかかわらず全額を非課税として取り扱った。中小企業倒産防止共済(セイフティ共済)の解約手当金を退職手当金と同様の非課税枠の対象とした。
正しい評価方法:
弔慰金は、業務上死亡の場合は普通給与の3年分相当額、業務外死亡の場合は普通給与の半年分相当額を超える部分について死亡退職金として課税対象とします。セイフティ共済の解約手当金は事業用の財産として通常の相続財産評価を行い、死亡退職金の非課税枠の対象にはなりません。
関係法令・通達
相続税法基本通達3-20(弔慰金等の取扱い)

保険事故未発生の生命保険契約に関する権利

重要度: 4 / 5
誤り事例:
被相続人以外を被保険者とする保険契約を、死亡保険金の非課税限度額の対象として処理した、又は評価を漏らした。
正しい評価方法:
相続開始時に保険事故が発生していない生命保険契約に関する権利は、原則として相続開始時に解約するとした場合の解約返戻金等により評価します。死亡保険金の非課税限度額の対象ではありません。
関係法令・通達
財産評価基本通達193214、国税庁「生命保険契約に関する権利の評価」

生命保険料の返還金・損害保険の解約返戻金

重要度: 3 / 5
誤り事例:
前納保険料、返戻金又は未経過保険料の返還請求権を、保険金と混同して評価から漏らした。
正しい評価方法:
相続開始時に返還を受けることができる前納保険料、返戻金又は未経過保険料は、契約内容に応じた返還請求権として評価します。保険事故の有無と解約返戻金等の支払条件を確認します。
関係法令・通達
財産評価基本通達193214、国税庁「生命保険契約に関する権利の評価」

建物更生共済に関する権利

重要度: 3 / 5
誤り事例:
建物更生共済について、共済契約の死亡・満期・解約のいずれの給付かを確認せず、一律に生命保険金として処理した。
正しい評価方法:
建物更生共済は、給付原因及び契約者・共済金受取人の関係を確認し、相続開始時の権利又は保険金等として判定します。
関係法令・通達
相続税法3条、財産評価基本通達193214

3年以内贈与財産 / 相続開始前3年以内に贈与があった財産

重要度: 5 / 5
誤り事例:
相続又は遺贈により財産を取得していない者(相続放棄をした者や孫等の法定相続人以外の者)が受けた生前贈与財産について、加算対象に含めて課税価格を計算した。令和6年1月1日以後の贈与について、加算期間が「3年以内」のまま据え置かれていると誤認した。
正しい評価方法:
相続開始前3年以内の贈与財産の加算は、相続又は遺贈により財産を取得した者が対象の贈与を受けていた場合に限り適用されます。相続財産を何も取得していない者への生前贈与は加算対象になりません。なお、令和6年1月1日以後の贈与については、生前贈与加算の対象期間が段階的に延長され、最終的に相続開始前7年以内となります。延長された4年間(相続開始前3年超7年以内)の贈与については、総額100万円を超えない部分は加算対象から除かれます。
関係法令・通達
相続税法19条(相続開始前3年以内に贈与があった場合の相続税額)

住宅取得等資金の贈与

重要度: 3 / 5
誤り事例:
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受け、贈与税の非課税の特例の適用を受けた金額についても、相続開始前3年(7年)以内加算の対象に含めて計算した。
正しい評価方法:
住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例の適用を受けた金額は、生前贈与加算の対象には含めません(非課税とされた部分を除いた課税価格に算入された部分のみが通常の贈与財産として加算対象となり得ます)。
関係法令・通達
相続税法19条(かっこ書、特定贈与財産の除外)

相続時精算課税適用財産

重要度: 5 / 5
誤り事例:
相続時精算課税を適用して贈与を受けた財産について、贈与時の価額ではなく相続開始時の価額で相続税の課税価格に加算した。令和6年1月1日以後の贈与について新設された基礎控除(年110万円)を適用せずに加算額を計算した。
正しい評価方法:
相続時精算課税適用財産は、贈与時の価額により相続税の課税価格に加算します(相続開始時の時価変動は反映しません)。令和6年1月1日以後の贈与については、相続時精算課税に係る基礎控除額(年間110万円)を控除した後の残額を、相続時精算課税適用財産として相続税の課税価格に加算します。
関係法令・通達
相続税法21条の15(相続時精算課税に係る相続税額)、21条の11の2(相続時精算課税に係る贈与税の基礎控除)

教育資金の一括贈与を受けた財産

重要度: 4 / 5
誤り事例:
教育資金の一括贈与に係る非課税制度を利用した信託等について、贈与者死亡時の管理残額に対する相続税の加算(一定の場合を除く)を失念した。
正しい評価方法:
贈与者の死亡時に管理残額がある場合、原則としてその残額を受贈者が相続等により取得したものとみなして相続税の課税価格に加算します。ただし、受贈者の年齢や贈与契約が開始した時期等に応じて加算対象外となる例外が定められているため、制度改正の経緯も踏まえ、個別の契約内容に照らして加算の要否を確認する必要があります。
関係法令・通達
租税特別措置法70条の2の2(直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税)

結婚・子育て資金の一括贈与を受けた財産

重要度: 3 / 5
誤り事例:
結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税制度の管理残額について、贈与者死亡時の相続税加算を失念した、又は教育資金と同様の例外規定(受贈者の年齢要件による加算除外)があるものと誤解した。
正しい評価方法:
結婚・子育て資金の一括贈与について、贈与者の死亡時に管理残額がある場合は、教育資金の特例と異なり受贈者の年齢にかかわらず、その残額を相続等により取得したものとみなして相続税の課税価格に加算します。
関係法令・通達
租税特別措置法70条の2の3(直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税)

限定承認をした場合の債務控除

重要度: 3 / 5
誤り事例:
限定承認をした相続について、通常の相続と同様に被相続人の債務全額を無制限に債務控除の対象とした。
正しい評価方法:
限定承認をした場合、相続人は相続財産の限度でのみ被相続人の債務を弁済する責任を負うため、債務控除の対象となる債務も相続財産の価額を限度とする点に留意し、あわせてみなし譲渡所得課税(準確定申告)の要否も確認します。
関係法令・通達
相続税法13条及び相続税法基本通達13-1以下

借入金 / 未払金 / クレジットカードの未払額 / 団体信用保険の住宅ローン

重要度: 4 / 5
誤り事例:
団体信用生命保険が付保されている住宅ローンについて、被相続人の死亡により保険金で完済されるにもかかわらず、当該住宅ローン残高を債務控除の対象とした。
正しい評価方法:
団体信用生命保険により保険金で完済される住宅ローンは、被相続人の債務として現実に相続人が承継・弁済するものではないため、原則として債務控除の対象とはなりません。それ以外の借入金、未払金、クレジットカードの未払額は、課税時期現在の残高を確定金額により債務控除します。
関係法令・通達
相続税法13条及び相続税法基本通達13-1以下

公租公課 / 所得税 / 住民税 / 事業税 / 市県民税 / 固定資産税 / 地方税 / 消費税 / 介護保険料 / 後期高齢者医療保険料 / 国民健康保険料 / 公共料金

重要度: 4 / 5
誤り事例:
被相続人の死亡時点で納期未到来の固定資産税や住民税について、賦課期日(1月1日)時点で納税義務が生じていることを見落とし、債務控除の対象から除外した。
正しい評価方法:
被相続人の死亡時点で納税義務が確定している公租公課(賦課期日が到来しているが納期限が未到来のものを含む)は、未払いの金額を債務控除の対象とします。準確定申告により確定する所得税・消費税等の未払額も同様に債務控除の対象とします。
関係法令・通達
相続税法13条14条(債務控除)、相続税法基本通達13-713-8

目次