- 誤り事例:
- 国民年金の死亡一時金や遺族年金等について、被相続人の財産として相続税の課税対象に含めた。
- 正しい評価方法:
- 国民年金の死亡一時金、寡婦年金、遺族年金等は、遺族固有の権利として支給されるものであり、相続税の課税対象とはなりません(そもそも相続財産に該当しない財産です)。
- 関係法令・通達
- 相続税法12条及び該当する個別法令
- 誤り事例:
- 被相続人が受給していた国民年金・厚生年金等について、死亡後に遺族が請求・受給した未支給分(死亡月分までの未受給の年金)を、被相続人の本来の相続財産(未収入金)として相続税の課税価格に算入した。
- 正しい評価方法:
- 未支給年金は、国民年金法・厚生年金保険法等の規定により、被相続人と生計を同じくしていた一定の遺族が自己の固有の権利として請求するものであり、民法上の相続財産にも相続税法上のみなし相続財産にも該当しません。相続税の課税対象とはならず、これを受け取った遺族の一時所得として所得税の課税対象になる点に留意します。
- 関係法令・通達
- 国民年金法19条、厚生年金保険法37条、所得税基本通達34-2
- 誤り事例:
- 地方公共団体が実施する心身障害者扶養共済制度に基づく給付金の受給権について、通常の生命保険契約に関する権利と同様に評価し課税対象とした。
- 正しい評価方法:
- 心身障害者扶養共済制度に基づく給付金を受ける権利は、相続税法上非課税とされています。
- 誤り事例:
- 被相続人が個人で営む学校等の教育の用に供されていた財産について、通常の事業用財産と同様に課税対象とした。
- 正しい評価方法:
- 学校法人等が教育の用に供する財産で一定の要件を満たすものは非課税とされる場合がありますが、適用対象は限定的であるため、財産の帰属主体(個人か法人か)や用途を慎重に確認する必要があります。
- 誤り事例:
- 相続財産を国・地方公共団体等に寄附した場合の非課税規定について、申告期限までに寄附を行っていない、又は寄附先が非課税対象となる団体(特定公益法人等)に該当しないにもかかわらず非課税として申告した。自治会・町内会など法人格のない団体への寄附について非課税規定を適用した。
- 正しい評価方法:
- 相続税の申告期限までに、相続又は遺贈により取得した財産を国、地方公共団体又は特定の公益法人(特定公益信託を含む)に寄附した場合には、その寄附財産は非課税とされます。ただし、対象となる寄附先や手続要件(申告書への明細書の添付等)を満たす必要があり、法人格のない自治会・町内会への寄附は原則としてこの非課税規定の対象外である点に留意します。
- 関係法令・通達
- 租税特別措置法70条(国等に対して相続財産を贈与した場合の相続税の非課税)
- 誤り事例:
- 開発行為に伴い地方公共団体に提供(帰属)した公園予定地について、被相続人(相続人)の所有財産として評価対象に含めた。
- 正しい評価方法:
- 開発許可等に基づき既に地方公共団体に帰属している提供公園の土地は、そもそも被相続人の所有財産ではないため相続財産に含まれません。所有権の帰属状況を登記簿等で確認します。
- 関係法令・通達
- 相続税法12条及び該当する個別法令
- 誤り事例:
- 入会権に基づき利用している入会地(村落共同体の共有的利用地)について、被相続人個人の財産として評価対象に含めた。時効取得により権利関係が未確定な土地について評価を失念した。
- 正しい評価方法:
- 入会地は入会権者全体に総有的に帰属する性質を有するため、被相続人個人の持分として単純に評価することはできず、権利関係を慣習等に基づき慎重に確認する必要があります。時効取得の主張が可能な土地については、その法的地位(時効の完成・援用の有無等)を踏まえて評価の要否を判断します。
- 関係法令・通達
- 相続税法12条及び該当する個別法令
- 誤り事例:
- 自然環境保全法等に基づく風景地保護協定や都市緑地法に基づく市民緑地契約が締結されている土地について、利用制限を考慮せず通常の宅地・山林等と同様に評価した。
- 正しい評価方法:
- これらの協定・契約により長期間の利用制限を受けている土地は、その制限の内容に応じて定められた控除割合(例えば風景地保護協定は一定割合の控除、市民緑地契約は契約期間に応じた控除)を通常の評価額から控除して評価します。
- 関係法令・通達
- 相続税法12条及び該当する個別法令
- 誤り事例:
- 特別縁故者が家庭裁判所の審判により取得した財産について、相続税の基礎控除等、相続人が取得した場合と同様の取扱いを適用した。負担付遺贈について、負担額を考慮せず遺贈財産の全額を評価額とした。代償分割における代償財産の授受を評価に反映しなかった。
- 正しい評価方法:
- 特別縁故者が取得した財産は遺贈により取得したものとみなされますが、相続人ではないため基礎控除の計算上の法定相続人の数には含めず、相続税額の2割加算の対象となります。負担付遺贈は、遺贈の目的物の価額から負担額を控除した金額により評価します。代償分割が行われた場合、代償財産を交付した者は取得財産の価額から代償債務を控除し、交付を受けた者はその価額を加算して課税価格を計算します。停止条件付遺贈は、条件が相続税の申告期限までに成就したかどうかにより課税関係が異なる点に留意します。
- 誤り事例:
- 老人ホーム入居時に支払った入居保証金(返還金)について、死亡による退去時に返還される金額を相続財産(未収入金)として計上しなかった。
- 正しい評価方法:
- 老人ホームの入居契約に基づき、死亡(退去)時に施設から返還される入居保証金相当額は、相続財産として未収入金(返還請求権)に計上する必要があります(施設利用に応じた償却後の残額を確認)。
- 関係法令・通達
- 相続税法12条及び該当する個別法令
- 誤り事例:
- 引揚者給付金等特別措置法に基づく引揚者国庫債券について、通常の公社債と同様に課税対象として評価した。
- 正しい評価方法:
- 引揚者国庫債券及び恩給法の規定による恩給に基づく年金給付を受ける権利等、法令上非課税とされている特定の財産については、相続税の課税対象に含めません。
- 関係法令・通達
- 相続税法12条及び該当する個別法令
- 誤り事例:
- 被相続人の死亡後に支給された賞与について、死亡退職金と同様の非課税規定(生命保険金等の非課税限度額)の適用対象とした。
- 正しい評価方法:
- 被相続人の死亡後に支給が確定した賞与で、死亡後3年以内に支給が確定したものはみなし相続財産(退職手当金等に該当しない通常の賞与債権)として本来の相続財産に含め、死亡退職金の非課税限度額の適用対象とはなりません。
- 関係法令・通達
- 相続税法基本通達3-32(被相続人の死亡後確定した賞与)